ヒイゴ池湿地は岡山県総社市福井地区にあり、岡山-米子間を結ぶ高速道路が西東にヒイゴ池とヒイゴ池湿地を分断している。ヒイゴ池湿地は高速道路の東側にあり、高速道路に沿っている。
ヒイゴ池湿地は、日当りの良いやせた山間の湿原で、この自然環境を好む、モウセンゴケ、トキソウ、サギソウ、スイランなどの貴重な植物と世界一小さいハッチョウトンボ、サラサヤンマ、少なくなってきたハラビロトンボなどを観察できる。
ホームページ「里山を歩こう 吉備路散策」を作成するために吉備路を散策していた時に、高速道路の下を横切る道かどで「ヒイゴ池湿地」の看板を見かけました。その時は気にとめませんでしたが、その後「里山の草花」ページを新設するにあたり、吉備路周辺の草花を撮影して回りました。ヒイゴ池湿地には、2006年9月10日に出かけました。,br> この時初めて、自生のサギソウを見ました。すでにサギソウの花期は終わっており、わずかに咲き残っていたサギソウの写真を撮りました。記念碑や案内板を見て、ヒイゴ池湿地の保存活動によって、今日貴重な植物、トンボを観察できることを知りました。それから1年、充分な写真は撮れていませんが、「ヒイゴ池湿地の自然観察」のページを新設しました。
ヒイゴ池を麓にするヒイゴ谷は、高速道路建設にともなって、消滅する計画でした。1993年に「高梁川流域の水と緑をまもる会」が中心になって調査した結果、ヒイゴ谷に湿原があり、絶滅に瀕している貴重な湿原植物・昆虫が数多く存在していることが分かりました。
「まもる会」の熱心な働きかけが地元自治体、道路公団を動かし、1994年に高速道路の工事変更、盛り土される部分の湿原植物の移植、遊歩道を備えた恒久的保存湿原としての整備工事が行われました。また、2001年に高速道路を2車線から4車線に拡幅工事がおこなわれた時も、日照の確保など種々の工夫がおこなわれました。
この当時の記録が、「ヒイゴ池湿原に関する保護保全に関する研究」に記述されています。
ヒイゴ池湿地には、「日当りの良いやせた山間の湿原」の環境を好む植物・昆虫が生育しています。この環境を維持していくことは、大変なことと思います。日々手入れをしないと、雑木が大きくなり、帰化植物などの雑草が茂り、サギソウが自生する環境が失われます。サギソウが自生する環境が失われるとハッチョウトンボも生息できなくなります。
湿原を維持されている総社市および地域ボランティアの方々に感謝しています。